優しい会話

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 私はそのカップルの、今では元カップルになってしまった会話を聞いて、ため息を吐く。人はこうやって人間関係を壊していく。喧嘩をして、仲直りして、結局その関係は完全には修復していない。どこかしら、前よりも脆くなっている。だから、次喧嘩した時に、関係が悪化しやすい。 「何でこんな簡単なことが出来ないんだよ」 「しょうがないじゃん、初めてなんだもん!」  喧嘩を引き起こすもう一つの言動は、強要だ。強要、つまり無理に要求すること。法律では、強要罪というものも存在する程、強要とは軽いようなもので、深い。自分は出来るのに、相手にはできない。それについて、本人はイライラしてしまう。そして、その結果相手に強く当たってしまい、喧嘩が起こる。 「何でもっと優しく言ってくれないの?」 「は? お前が出来ないからだろ?」 「何それ、酷い」 「……はぁ、お前といるとまじでイラつく」 「は? それはこっちの台詞!」 「俺たちもう終わりにしよう」 「そうね、さようなら」  また一組のカップルがこの世から消えた。私はそれを見て、何と愚かなんだろうと心の中で囁いた。  人間は本当に喧嘩をする生き物だと思う。喧嘩をするから平和がいつまで経っても訪れないのだ。価値観の違いがあるから、喧嘩をして、それが発展したのが戦争。国同士がぶつかり合う。本当に愚かだ。今現在、令和という時代になっても世界各国では紛争をしている国が沢山ある。  人々は何故喧嘩をするのだろう。それは自分を認めてほしいからなのではないだろうか。 「何考えてるの、海上(かいじょう)さん?」  後藤(ごとう)君が私を覗き込むように見ると、その流れで前の席に座る。手には、ハンバーガーとポテト、ドリンクが並んでおり、ちゃんと私がオーダーしたバーベキューソースもトレーの上に乗っていた。
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