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それから五日間、彼女はどきどきしながら日々を過ごした。スーパーマーケットや図書館に行ってみたり、地図を見ながら、一緒に巡りたい場所を紙に書き出したりした。
そして、約束の時が来た。
よく晴れた日曜日だった。部屋には植物園や水族館の入場券、地球の歴史について書かれた本などが並べられている。フォスター人にとって毒となる成分が含まれないよう、特別に作ったお菓子も用意した。待っているあいだ、期待と不安がかわるがわる押し寄せた。
彼は探査機の居場所を知っている。高い技術をもっているから、迷わず彼女の部屋に来られるはずだ。けれど、日が暮れてカラスが鳴き出しても、窓の外に宇宙船が現れることはなかった。
白い小蠅のようなものが一つ、卓上燈のまわりを飛び回っている。
しょんぼりして布団に潜ろうとしたその時、蚊の鳴くような声が聴こえた。
「もしもし、地球人さん」
探査機から出た声ではなかった。部屋をきょろきょろと見回していると、また彼に呼びとめられた。
「顕微鏡を見てみなよ」
試料台に、白い点のような物がくっついている。接眼レンズを覗き、彼女は「わっ」と声を上げた。白く見えたのは、驚くほど小さな宇宙船だったのだ。その傍に、賢そうな目をした二本足の生き物が立っている。
フォスターから来た彼は、拡声器のような道具で彼女に伝えた。
「声しか届かないから、知らなかった。まさか、こんなに体の大きさが違ってただなんて……。俺、だいぶ小さいけど、これからも友達でいてくれるかな」
彼女は嬉しさを嚙みしめ、大きく頷いた。
「そんなちっちゃいこと気にしないよ。これからもよろしくね!」
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