私と親友の、陰陽師さんご一行との忘れられない四日間

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 手にした予約伝票とインストアイベントの参加券を見て言う私へ、雨歌がにこにこ笑っている。先に店舗を出た彼女は、そう言ってスキップ混じりで歩き出した。トレードマークのサイドテールが、動きに合わせてぴこぴこ弾んでいる。 「ちょっと、そんな歩き方したら危ないよ?」 「へーきへーき☆あっ、あそこに雑貨屋さん出来てる! ちょっと見てみよー♪」 「もう……」  可愛らしいアクセサリーやポストカードなどが並んだ新店舗へ向かう彼女の背中を見て、私は小さく溜息をつく。まあいつもこんな感じだから慣れてるけどね。取り敢えず自分も向かおうと足を進めた時、来店した誰かと入れ違いになった。 「………………お元気で」 「えっ――?」  耳に残る、穏やかな声。すれ違いざま耳元で囁かれた、確かに聞き覚えのあるその声に、私は足を止め勢い良く振り返る。 「やったー★まだ参加券残ってるって~♪」 「良かったなー!」 「私は別にいいんだけど……って勝手に予約してるし!」 「相変わらずだな……」  店舗カウンターの前には、仲良く並ぶ男女四人の後ろ姿。内一人は軽く宙に浮いていて―― 「どうしたのー? 買い忘れとかあるー?」
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