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出会い
鴨川芹(かもがわ・せり)は、中学二年生。明るい色の茶髪をショートボブにしている。
夏休みの帰省で母さんとふたり、田舎へやってきた。
母さんは母さんの妹と一緒に夢中でおしゃべりしている。
「芹ちゃん、大地ちゃん、スイカ食べる?」
「うん、食べるー」
二つ下の従弟と一緒にスイカを食べた。
そのとき耳をつんざく音が聞こえてきた。
「な、なに?」
「慌てなはんな、芹ちゃん。隣の家にも帰省してきた子ぉらがおんのや。その子ぉらが花火でもしとるんやろ」
「へえ、隣の家でも……」
興味があったが、人見知りが先に立つ。
「行きたいかい? わしも芹ちゃんを自慢したいもんや」
「いや、いい」
それなので、お祖母ちゃんの提案を退けた。
「えー、なんで」
まだ子供子供した大地が言った。
「お隣り突撃しようぜ、芹」
「あんたがひとりでいけば? 私は知らない」
「ちっ」
大地も一人で隣へ押しかけるつもりはないのだろう。
「意気地なしめ」
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