幼馴染の嘘

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高校時代の航平の彼女たち。その数は一人や二人ではない。その彼女たちみんなと・・・と思っていたら、航平が僕の頬を両手で挟んだ。 「お試し彼女とは手すら握ってなかったって言っただろ?」 そんなこと言ったって、このすごくエロい色はなんで?初めからじゃないよね。 とても口では言えなかったので、僕は疑いの眼差しを送る。すると航平は両頬をむにっと摘んだ。 「俺の恋人はずっと頭の中の妄想真希で、こいつの相棒は俺の右手」 そう言って頬から手を離した航平は右手をヒラヒラさせて自身を掴むと、それを上下にゆっくり扱き出す。 「いつもはこうして頭の中で真希にエロいことさせてひたすら自分でシコってたんだよ。だけどもう、実物の真希がいるから・・・」 言いながらニヤッと笑った航平は左手で僕のを握ると、航平のそれと合わせた。 「・・・・・・っ」 いきなり握られた感触にビクついた身体が、航平のものに触れてさらに跳ねる。そしてその熱い熱が重なって、一緒に扱かれ・・・。 「・・・ぁ・・・んっ・・・」 予想もしないその快感に、僕の口から喘ぎが漏れそうになる。だから僕はすぐに口を手で塞いだ。 「俺が今まで抱いたのは真希だけだよ。でもそれもいつもケダモノに邪魔されてあんまり覚えていない。真希を本当に恋人に出来たらしてあげたいことがたくさんあったのに、ひとつも出来なかった。しかもムードも欠けらも無い、本能だけの行為なんて・・・」 そう言いながらも手が止まらず動き続けるから、僕は必死で口を押さえるけど、それでも我慢できない。必要に迫られてしか触ったことがなかったから、この行為がこんなに気持ちがいいなんて知らなかった。いや、航平とだからだろうか。 一緒に握られた航平のものが熱くて、そして扱かれる手がすごく気持ちよくて、僕は瞬く間に頂点へと上り詰めていく。 「・・・ん・・・ぅんっ・・・ん・・・っ・・・」 もうダメ。 出ちゃう。 そう思ったその時、耳元で航平も熱い吐息とともに呟いた。 「・・・イクよ」 そう言って航平の指が先っぽを引っ掻くように撫でた瞬間、僕は勢いよく放っていた。 「あ・・・っ」 ガクガクと身体が震えて力が抜けていく。それを支えながら航平が近くのティッシュを引き出した。 航平もイケた? 自分のことで手一杯で航平のことまで見ていなかったけど、まだ航平に握られてるそれはどちらも精を放ち萎えている。でも航平の方はまだ芯が残っているみたいだ。だけどそんなこと気にする風もなく素早くティッシュで拭うと、僕のと自分のをしまってしまった。 「・・・いいの?」 だから思わず訊いてしまったけど、航平は苦笑いした。 「そのうち治まるから」 そう言って僕を抱えると一緒にベッドに横になった。 周りを気にしてかあっという間に終わったその行為に、僕の胸の鼓動は治まらない。そんな僕をむぎゅむぎゅと確かめるように抱きしめて、航平が小さく呟いた。 「真希だ・・・」 そして僕を身体全体で抱き込んでしまう。それはまるで僕が逃げないようにしているようで・・・。 「航平?」 身動きが取れないほどがっちり抱きしめられ、まだ整っていない息が苦しい。でも触れた身体から伝わってくる航平の気持ちが達成感や充実感ではなく不安だったから、僕はそのままじっとしていた。 強い力に息苦しいけど、航平の腕の中は心地いい。ここが僕の安全で安心できる場所なのだと本能で分かる。だけど航平はまだ不安げだ。 「いつもさ・・・」 しばらくそのままでいると、航平が呟き出した。それは小さな声だけど、密着した耳からダイレクトに聞こえてくる。 「いつも真希がいないんだ」 そう言うとまた、航平は確かめるように背中に回った腕を動かし始める。 「真希は俺の頭の中にしかいなくて、どんなにエッチなことをしても終われば消えてしまう・・・あたりまえなんだけどさ。それが夢の中の出来事だったりすると、目覚めた時の喪失感がすごくて・・・。その度に後悔するんだ。なんで俺は嘘をついたんだろう。なんでもっと、意地を張らずに素直になれなかったんだろうだろう、て・・・」
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