幼馴染の嘘

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「俺さ、いつの間にか真希のことを考えると決まって思い出す匂いがあったんだ。なんの匂いか分からなかったけど、真希の匂いだった」 そう言いながら航平はうなじをちろっと舐めた。その感触が電気のように全身に駆け巡る。 「あの日、夢だと思ってたけど身体はちゃんと真希を覚えてたんだな・・・」 そう言って航平は、うれしそうにまたうなじを舐めた。 きっと航平は夢の中の自分が怖くて思い出さないようにしていたんだろう。それでも無意識に、僕を思う気持ちが匂いを思い出していたんだ。そう思うと僕もうれしい。だってそれだけ、僕を好きでいてくれたってことだから。 僕が航平を忘れられなくて苦しんでる間、航平も僕の事を思ってくれていた。それがとてもうれしい。 あの発情は僕にも航平にもいい出来事ではなかったけれど、こうして少しでもうれしいと思えることがあると、また少し気持ちも変わる。 いつかこれが、思い出になる日が来るかもしれない。いい思い出とまではいかなくても、胸を痛めずに思い出せるようになる日が・・・。 そうなるにはこれから僕達がたくさん幸せにならないといけない。 そう思ってる間も、身体の熱はどんどん上がっていく。 発情期ってすごい。 こんなにエッチしたくなるんだ。 僕のものも固くなってるのは、きっと航平も気づいてるはず。それに後ろもひくついてる。普段は滅多に自分でも触らないのに、今は触って欲しくて仕方がない。 こんなことが外で起こったら大変だ。 そう思った時、ふとあの原因となった彼女は大丈夫だったのだろうかと心配になった。普通のオメガの彼女の発情フェロモンは航平を発情させるくらい強力なのだ。現に他のアルファもすぐに気づいて逃げたと言うし。でもアルファみんなが逃げたかどうかは分からない。それに濃すぎるフェロモンは、ベータにも分かると言うから・・・。 「ねえ、航平。あの時駅で発情した彼女は大丈夫だったの?」 その問いに、まだうなじの匂いを嗅いでいた航平はそのまま唇をうなじにつけたまま答えてくれる。 「ああ。いつもの待ち合わせの駅だったらやばかったけど、あそこはあんまりアルファがいなかったし、すぐに駅員に保護されて運ばれたらしい。その後も俺は何も言わなかったから、突発的な発情だったということで問題にはならなかったよ」 良かった。 とりあえず大きな事件にはならなかったみたいだ。 そう思ってほっとしていると、いきなり航平がそこを甘噛みした。その瞬間、僕の身体に電流のような衝撃が走る。 オメガにとってうなじは特に敏感だ。そこに軽くとはいえ歯が突き立てられたのだから、僕の心臓の鼓動は跳ね上がった。 「なぁ・・・。もう話は終えて、さっきの続きをしたいって言ったら、真希は怒る?」 もう一度そこを甘噛みされ、僕の身体はビクビクと震える。 僕の身体がこんなに淫らに熱くなってるのに気づいてるはずなのに、それでもお伺いを立ててくるのは、余程僕の怒りに敏感になっているからだろう。 航平の身体もすごく熱い。 それに香りがすごくて・・・僕ももう限界。 僕は首を横に振るとぐっと身体を航平に押付けた。 「・・・確かめの続き、しよ」 航平は気づいてるかな? 僕が発情してること。 最弱オメガだけど、ちゃんと発情フェロモン出てるのかな? そう思っていると、航平は僕から身を離して包まっている布団を剥がし、僕をベッドに押し倒した。 「・・・エッロ」 裸の僕を再び上から見下ろす航平の目が、怪しく熱を帯びている。 「妄想真希も相当エロかったけど、実物はもっとすごい・・・」 そう言って先程整えてしまったズボンのボタンを外し、航平は自ら自身を取り出した。そしてそれを自分で握るから・・・。 「実物(ぼく)いるのに・・・自分でしないで・・・」 きっといつもそうしていたのだろうけど、僕だってもう限界なのだ。だから僕は、両手を広げて航平を誘った。すると航平はすぐに僕に覆いかぶさり、唇を合わせた。 さっきの続き。 そう言いながら再びキスから始まったそれは、発情した身体にはもどかしい。
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