幼馴染の嘘

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キスは気持ちいいし気分を煽るにはすごく必要だと思うけど、いまの僕はそんなものはいらない。だって、もう欲しくて欲しくてお腹の奥がずっと疼いている。 だから早く・・・中に・・・。 「・・・ん・・・こう・・・へい・・・」 キスの途中でイヤイヤするように首を振り、僕は下肢を航平の腰に押付けた。すると航平の熱い固いものにぐりっと当たる。それに気づいた航平が僕のものを握ってくれるけど、僕はそれにまた首を振る。 違う。 そこじゃない。 身体の中を熱い何かが暴れ回り、急いた身体が無意識に足を開かせる。そして顕になったそこに指を当てて僕は航平におねだりした。 「航平・・・ここ・・・挿れ・・・て・・・」 完全に発情に飲まれた僕は自分がなにをしてるのか理解できていない。 だけど身体が熱くて堪らず、お腹の奥がどうしようもなく疼いて、早くここを埋めて欲しくて仕方がない。 早く・・・早く早く早く・・・っ。 身体の中の何かが僕の身体を支配する。 「・・・真希・・・優しくしたい・・・だからまだ・・・」 身を起こした航平が鼻を手の甲で抑えながら言うけれど、僕の中の何かはそれを許さない。 「やだ・・・早く・・・欲し・・・い・・・」 そして腰を浮かせ指でそこを拡げると、中から出てきたものが指を濡らして滴り落ちる。それを鼻を抑えたまま見ていた航平の目が怪しく光る。その瞬間僕の身体はすごい勢いでひっくり返され、一気に熱い昂りを突き挿れられた。 「あっ・・・!」 その痛みで視界が飛ぶも、すぐにぶつかった奥への衝撃に身体が歓喜に震える。 ああ・・・早く・・・早く・・・。 ぎちぎちに嵌ったそれを僕の中は離さないように締め付ける。けれど中から溢れ出る滴りに助けられ、それはすごい勢いでそこを出入りした。 がんがんぶつかる腰にまるで人形のように身体を揺さぶられ、それでもまだ中にもらえないもどかしさに身体が焦れる。 激しい抽挿が僕の身体を高みへと押し上げていくけれど、まだ与えられていないお腹の奥が早く欲しいと切なく疼く。そしてその疼きは先程甘噛みされたうなじにも広がり、噛んで欲しくて僕の頭を無意識に下げさせた。 噛んでっ・・・。 早くここを噛んで、そしてお腹に精をちょうだいっ。 僕の中に強烈な欲が湧き上がる。そしてその欲が強く僕を支配したその時、うなじがカッと熱くなった。それはまるで火を当てられたような鋭い熱さで、そのあまりの衝撃に目の前が白く弾ける。 どくどくと言う鼓動だけが聞こえる。 そして感じる航平の熱。 それはうなじから注がれ、僕の全身へと駆け巡る。そしてその熱は、まるで麻薬のように僕の心を言いようもない幸福感で包み込み、お腹に注がれた精は身体をようやく満足させ、落ち着かせる。 どれくらいそうしていたのか。 短いような長いような。 だけど僕は、そのなんとも言えない幸福感の中にずっといたかった。 なのにそれは突然終わる。 僕の中からずるりと自身を抜き出した航平はそのままぎゅっと僕を抱きしめた。 その身体が震えている。 まだぼやけた頭は完全には戻っていない。けれどそんな航平に僕は手を伸ばす。抱き返してあげたいけど後ろから抱きしめられているので届かず、僕は航平の頭を撫でた。 本当は身体が重くて瞼が落ちてくる。 でもまるで怯えた子供のように震える航平をそのままに、ここで眠るわけにはいかない。 「・・・ごめん」 よしよしと頭を撫でていると、航平が苦しそうに呟いた。 「俺・・・やっぱりダメだった。またお前を無理やり押さえつけて傷つけた。あれを止めることが出来なかった」 ぼやぼやの頭は航平が何を言ってるのかわからない。 なんで謝ってるんだろう? あれってなんだっけ・・・? 頭を撫でながら落ちそうになる意識を必死に保ち、気を抜くとすぐに眠ってしまいそうな頭を回転させる。 無理やり・・・傷つけ・・・あれを止められない・・・。 あれ・・・あれ・・・あぁ、あれか。 「無理やりじゃ・・・ないよ・・・。航平は・・・僕がして・・・欲しかったこと・・・全部してくれた・・・よ・・・」 眠くて口があまり上手く動かない。 まるで夢の中のようにふわふわしてる。でもちゃんと伝えなきゃ。
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