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私は、車の中にいた。
ヨシタカさんが、痛みで、
意識が朦朧としている私を、ここまで連れて来たのだろう。
隣の運転席には、そのヨシタカさんがいた。
「気づいた?ナオさん。」心配そうな声で、私の顔を見ながら、ヨシタカさんは言って来た。
「うん。なんとか、大丈夫。」と声をかける。
同じ、痛みだったはずなのに、私の方が、弱々しい。
「もう、お別れだね。」と、私は、小さな声で言った。
「送るよ。」そう言われ、車は、静かに走り出した。
真っ暗な暗闇の中を、ネオンを頼りに、走っている。
それが、別れの時と、重なり、少し泣きそうになった。
でも、私の方が、気丈に振舞わなければ、
このまま、しっかりと、別れる事は出来ない気がした。
そう思い、気持ちを強く持つ。
そして、目的地である、私のマンション近くに、車が停まった。
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