③とある別れた時の話2(ナオ編)

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「最後に、ヨシタカさんの名刺、貰っていいかな?」私は、頼み込んだ。 「名刺?どうして?」と、不思議そうに、ヨシタカさんは言う。 「私、ヨシタカさんの物、何も持っていないから。買ってもらった物はあるけど、それは、私の物であって、ヨシタカさんの私物じゃないから。 何か、1つぐらいは、貰おうって思って。 ネクタイや、ハンカチとか、考えたけど、 ヨシタカさんの身に着ける物は、全て、ブランド物で、高そうだから、 名刺なら、紙だし、沢山あるからいいかな?って。」 そう言って、少しだけ笑った。 ヨシタカさんとは、身分の差というか、持っている物全てに、差があるような気がする。 私は、安物ばっかりだから、交換する事なんて、出来ないと思った。 だから、名刺。 「いいよ。その代わり、ナオさんの名刺も欲しい。」と言われた。 私は、鞄から、名刺を、1枚、抜き取った。 「営業事務の名刺しかないけど。いいのかな?」と言って、渡す。 「どうして、秘書課のがないんだ?」と、ヨシタカさんに聞かれたが、 「まさか、貰ってないのか。ウエノショウコから。」と、 すぐに、理解出来たようだ。 私は、軽く頷いた。
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