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「最後に、ヨシタカさんの名刺、貰っていいかな?」私は、頼み込んだ。
「名刺?どうして?」と、不思議そうに、ヨシタカさんは言う。
「私、ヨシタカさんの物、何も持っていないから。買ってもらった物はあるけど、それは、私の物であって、ヨシタカさんの私物じゃないから。
何か、1つぐらいは、貰おうって思って。
ネクタイや、ハンカチとか、考えたけど、
ヨシタカさんの身に着ける物は、全て、ブランド物で、高そうだから、
名刺なら、紙だし、沢山あるからいいかな?って。」
そう言って、少しだけ笑った。
ヨシタカさんとは、身分の差というか、持っている物全てに、差があるような気がする。
私は、安物ばっかりだから、交換する事なんて、出来ないと思った。
だから、名刺。
「いいよ。その代わり、ナオさんの名刺も欲しい。」と言われた。
私は、鞄から、名刺を、1枚、抜き取った。
「営業事務の名刺しかないけど。いいのかな?」と言って、渡す。
「どうして、秘書課のがないんだ?」と、ヨシタカさんに聞かれたが、
「まさか、貰ってないのか。ウエノショウコから。」と、
すぐに、理解出来たようだ。
私は、軽く頷いた。
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