ぱんつを拾ったアイツとアイツを拾った俺の話

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 ヤツが拾ったのか、それとも俺が拾ったのか――……  次回の研究発表のテーマが一向に思い付かず、単位取得が危ぶまれていた俺こと小川雅乃は、大学が夏季休みに入るタイミングでバイトも暫く休みを取っていた。 「なんか、なんかいい研究テーマ……」  細胞分裂や細胞組織の再生に興味はあるものの、それらの類いは研究され尽くしている。 “二番煎じどころじゃねぇもん研究しても単位くれねぇよな”  似たテーマを選ぶならば、せめて他の人が実験していないような媒体やデータがいる。  万一この単位を落としたら…… 「留年……!!!」  それはまずい。  非常にまずい。  けれど、焦れば焦るほど何も思い付かなくて。    はぁ、と大きなため息を吐いた俺が、うっかり溜めてしまっていた大量の洗濯物を一気に洗いベランダに干そうとした時にその事件が起こった。  そう、つるっと、本当につるっと手が滑り一枚のぱんつがベランダから落ちたのだ。 「やべっ!」  三階のベランダから慌ててぱんつを目で追い下を見る。    落ちたのはぱんつ。
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