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「どこに行こうとしている?」念話で青嵐が菊桃に問う。
「このままでは青嵐様が危険です。後は銀河殿達に任せましょう」
だめよ。
自分が、ここに居なければ意味がない。
せめて白雪だけでも連れて帰らなければ····
「まだよ···まだ····」
震える手で青嵐は帯に隠していた小瓶の蓋を空けて自分意外の周りの空気に香りを漂わせた。
「······ぇ····?」
その香りを嗅いだ瞬間に白雪と菊桃の視界が歪んだ。
突然、白雪が地面に倒れ菊桃も膝をつく。
「白雪!?」
白雪は胸を抑え上手く呼吸が出来ないと翠に念話で訴えた。
青嵐を支えられなくなった菊桃も遂には地面に突っ伏してしまう。
菊桃の応急処置のおかげで青嵐は腹部を押えながらも何とか話すことができる。
「何で···?」
どうしてお前は平気なのかと、青嵐は信じられないという顔で翠をみる。
「まさかお前····」
空気中に毒を撒いたのか。翠が青嵐に問う。
「えぇ、とても貴重な毒素よ」
完全体にするにはある人物の神力と混ぜ合わせる必要のある北でしか作り方は知らされていない製法で作られている。
「【呪毒】って聞いた事ないかしら?」
それを聞いて翠と白雪だけでなく菊桃までもが反応する。
「その毒の未完成品」
「持って来ておいてよかった」と、青嵐はクスリと笑う。自分の所の兵が目の前で苦しんでいるのに青嵐は我関せずと言うよりも
「どうして貴女にこれが効かないのかしら?」
水使いはある程度毒の成分を分解できる体質ではあるが青嵐が使った毒はかなり強い代物だ。
元々備わった翠の体質なのだろうか。
水神も殆どの毒は効かなかった。
完全体である呪毒を除いては。
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