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「ひっ!」  翠が青嵐を見下ろしていた。  その表情は無で感情を読み取れない。  ただ、感情を読み取れなくても  その殺気で分かる。  鬼神の逆鱗に触れた。  青嵐は壊れていない方の鉄扇で急ぎ技を繰り出したが、それと同時に翠は青嵐の首を捕らえてた。  風の刃を全身に喰らったがお構い無しに青嵐を地面に叩きつけギリリと、首を絞めていく。 「····か·····ぁ゛····」  足をばたつかせようが翠の手を掴み引き離そうとするがビクともしない。  苦しそうな表情をする青嵐に翠は鬼神の砲槍を作り出す。  その時の翠の顔は 「死ね」  忘れられない。  青嵐に向かって鬼神の砲槍をぶつける。 「····助け·····」  その時、思い浮かんだのは父だったか母だったか  それとも········· 「姉さ·····」  幼かった頃の真っ白い義姉が己に笑いかける姿が頭に浮かんだ。 「翠!!」  翠の元にやってきた白雪が砲槍を持った翠の手を掴み止めに入る。 「きゃ··ア゛ァアアァ゛アアア゛アァ!!」  翠の手を掴んだだけだ。  鬼神の砲槍は持ち主以外の者が触れると相手に苦痛を与える程の熱と冷気、電流を流す。 「白雪っ!?」  殺意に満ちていた翠が正気に戻り砲槍を消す。  絞められた首が解放され咳き込む青嵐の事など無視して翠は急いで倒れた白雪に治癒術を施す。  「白雪···っ!何で····!?」 「·····まだ···死なせちゃ···だめ」  聞きたい事が山ほどあるから。 「姫様!!」  戦いの最中に突然、その場から離れて翠達の元へ向かった白雪を追いかけた菊桃が咳き込み倒れる青嵐の側へと寄る。 「ゔ···ぅぐ···」  肋骨が数本折れて背中も強打した事でヒビが入っているかもしれない。  呼吸が苦しそうにしている青嵐をここに留めておくことは出来ない。  急ぎ応急処置として添え木を作り青嵐を抱き上げた。
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