燦然

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翌日の昼休み。 放課後まで待てずに、2年生の階まで来てみたものの……場違い感が半端ない。 「あのぉ……藤本さんはいらっしゃいますか?」 ドアの側にいた人に恐る恐る声をかけてみる。 「藤本…あぁ…翔!お前に用があるって」 窓側のグループに向かって声をかけてくれた。 ありがとうございます、とお礼を言うと 「あ、いや、はい…」 とそのままスマホに視線を戻した。 「凛ちゃん、どうしたの? 昨日はごめんね」 いつもの笑顔の藤本さんだった。 「あの…少しお話しできますか?」 「ん? 話せるよ。あ、一緒に昼飯食べよっか」 「は、はい。あ、でも…」 さすがにお弁当はこの場に持って来ていない。 「じゃあ中庭のベンチに集合ね」 と言い残して、教室の奥へ戻って行く。 私も自分の教室へ、お弁当とコートを取りに戻る。 さすがにまだ外は寒く、中庭は閑散としていた。 「お、来た来た。寒いかな? 場所かえる?」 「いえ、ここでいいです」 「昨日は、つい甘えたこと言っちゃってごめんね。真剣に父ちゃんにこれからのこと話したことなかったのに、分かってくれてるって勝手に思い込んでたんだよね。だからちょっと驚いたのもあって、あんなこと言っちゃって…凛ちゃんになら愚痴ってもいいかなって甘えちゃった。なんか調子いいよね。何もしなくていいとか言ったのに甘やかして欲しいなんてさ…」 俯きがちに苦笑いする藤本さん。 ごめんなさい… 昨日は寄り添えなくてごめんなさい…
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