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スタジオを出て車に着くまでは颯爽と歩いていた星だったが、後部座席に乗り込んだ途端に倒れ込んでお腹をかばうように身体を丸める。
「ごめん、もう限界。運転お願い…事務所はナビに入ってるから」
それだけ言うと必死に堪えながらも呻き声が漏れる。
「星さん、病院行った方がよくない?」
星は必死にバッグを差し出す。
「財布の中に診察券…そこ、行ける?…」
ごめんなさい、ちょっと見ますねと呟いて、Renはバッグの中から財布を探し、診察券を取り出した。
「佐倉レディースクリニックだね。じゃあ出発するよ」
運転は好きだし得意な方だとは思っているが、慎重に走り始めた。
渋滞に巻き込まれることなく、20分ほどでクリニックには到着した。
しかし、辛そうにお腹を抱える星は歩けそうにない。
Renはクリニックに電話をかけ、受診に来たが痛みで動けそうにない、どうしたらいいかと尋ねた。
「え、星さんが…少しお待ちください」
電話口での対応を待っていると、クリニックから白衣の女性が駆け寄って来た。
「星、大丈夫!? ねえ、君。星をクリニックまで運べる?」
「わ、わかりました」
Renは長身で華奢そうな身体つきではあるが、筋トレを続けており、それなりに腕力には自信があった。
運転席を出て後部座席に回り、星を抱き上げた。
「あ、鍵お願いできますか?」
中指に引っ掛けていた鍵を渡し、クリニックへと向かう。
後ろから追いかけて来た白衣の女性は、診察室へ入ってと指示を出した。
診察室のベッドに寝かせて、Renは待合室に出る。
心配するしかできないRenだったが、それ以外できることもなく待合室で座って待った。
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