運命のふたり(颯斗と美沙)

再会？

「ふあ〜〜あ」
「おはよう〜」
「あ、サキおはよう〜」

大欠伸で寝ぼけた顔をしながら、通勤する私は、
田所　美沙(たどころ　みさ)24歳
大手スポーツ用品メーカー本社勤務
入社4年目の事務員

「何？　大欠伸して〜寝不足？」
後ろから声を掛けて来たのは、同期入社の宮前サキ

「う〜ん、ついつい夜更かしして、恋愛小説一気に読んじゃって」
「ふふ、まあね、そもそも週明けは身体が重いけど、シャキッとしなさいよ」
「春眠暁を覚えずって言うでしょう？　ずっと眠ってたかったわよ」
「ハハ、早く眠れば良いのよ」
「ごもっとも！」

「あ、今日、本店から同期が異動してくるらしいわよ」
「へえ〜」
「ほら、覚えてない？　水瀬(みなせ)さんって、2歳年上の超イケメン！」
「う〜ん、入社式の時しか会ってないんでしょう？　そんなの覚えてないよ。あの日、私は緊張しまくりで他の人を見る余裕なんてなかったもの」

そもそも、入社式なんて、全国にある支社から大勢の新入社員が一同に集められて行われたのだから、たった1日で同期全員の顔と名前など覚えられるわけもない。