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 ずっと一緒にいられる、運命の人に出会うことができるでしょう。  そう言われたのが3か月前。ちょうど友人の結婚式に呼ばれた帰りのことだった。周りの友人たちは次々結婚していくのに、僕には結婚どころか、交際相手さえいない。普段は占いなんて信じないし、お金を払って占ってもらうなんてことは絶対にないのだけれど、この時ばかりは、酔っていた勢いもあって、占いをしてしまったのだ。  そしてその時は、占いにお金を払うなんて馬鹿なことをした、と後悔していたのだけれど、その一週間後には、その占いは正解だったと思うようになっていた。というのは、本当に出会いがあったからだ。  彼女との出会いは本当に、何かドラマであるような感じの偶然だった。会社の帰り、歩いていると突然雨が降ってきて、傘を持っていなくて困っていたら、同じように困っている人がいて、それが彼女だったのだ。あまりに雨がきつくてどうしようもなく、少し話しかけてみると、趣味が同じだということが分かって、そこから親しくなったのだ。こんなドラマみたいな偶然だから、というのもあったのかもしれない。僕たちは急速に親しくなり、出会って一か月後、3度目のデートの時に気持ちを伝え、僕たちは付き合うようになった。そしてさらにその2か月後、つまり今日、僕は彼女にプロポーズするつもりなのだ。  計画はばっちりだ。夕方彼女と食事をした後、ホテルを取ってある。そこで夜景を見ながらプロポーズするのだ。彼女が受けてくれるだろうということにも自信はある。出会って3か月とはいえ、本当にお互いに運命の人なのだと、そう感じている。彼女もそう言っていたのだ。  そうして、僕は彼女と会った。今日プロポーズするということを、おそらく彼女も意識しているのだろう。少し緊張しているようにも見える。食事の間も、いつもと比べると無口だった。そんな彼女に、僕は、ホテルの最上階の部屋を取ってあることを伝えた。彼女は嬉しそうにしたけれど、やはり緊張しているのか、いつもより静かだ。彼女のそんな様子に、僕も少しずつ緊張して、僕まで無口になってしまった。  結局あまり話さないまま食事を終え、僕たちはエレベータに乗って部屋へ向かう。少しずつ、鼓動が大きくなっていく。絶対に大丈夫だ、と思ってはいても、もしかしたら、というのが何故か頭に浮かんでしまう。彼女の横顔は、とても幸せそうで、きっと大丈夫だと思うのだけれど。  部屋に入り、用意してあったワインを開けて、夜景を見ながら、僕たちは乾杯をした。僕がなかなかプロポーズの言葉を言い出せないでいると、彼女は酔ったのか、ワインをテーブルに置き、僕に顔を近づけてきた。
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