あるロボット技師の呟き

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「まったく。これも、技術者がプログラミングした台詞だろ? 嫌になるね。ママ・ロボットのくせして、人間みたいな言い訳をするんだから」  だが、僕にはそうは思えなかった。  あのママ・ロボットも、廃棄処分となるらしい。  2093年3月12日の午前に製造されたものは、全て、だ。  だが、彼女たちを破棄処分したとしても、同じことではないだろうか。  誰かを責め立てて処分して、そして解決したと思い込んでも。  実際には、何も変わってはいないのではないだろうか……。 「会議は、ここで終わりだ。みんなには、今回のトラブルがあったことについて、この後、討論をしてほしい。まあ、国に提出するための儀礼的なものだよ。我が社の反省なるものが見えていればいい」 「そんなの、AIに書かせればいいじゃないですか」
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