あるロボット技師の呟き

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「どうしたの、急に」 「僕は、子育てを『趣味』として申請しようかと思うんだ。貯金も十分にあるし、君は仕事を続けても続けなくてもいい。ただ、ママ・ロボットに子育てを担ってもらうのは、やめたいんだ」 「どうしたの? 今朝は、ママ・ロボットでいいって言ってたじゃない」 「色々あったね……。以前、ニュースでやっていただろう。遠くの離島で、子育てを自分の手で行う人同士が集まる集落があるって。その集落に行ってみるのも手だと思うんだ。なにせ、人間の僕らが子育てをしようって言うんだから、困ることも沢山あるだろうし……」  思いつめた僕の表情に、妻も考えるところがあったようだ。  ソファの隣に座って、僕の手を握ってくれた。
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