あるロボット技師の呟き

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 その通りだ、と思った。  僕も、ロボットが話すべき内容を作ったことが何度もある。  彼ら、彼女らに、季節のことを語らせ、愛情深い台詞を語らせてきた。  一体、どうして不測の事態が生じたのか、についても、まるで人間が語っているかのように喋らせた。 『今や、「私」と同じ存在の者達が、至るところの、かつて「教育現場」と言われた場所で働いています。子育ての「責任」を、誰も取りたくないから、「私」のようなものが作り出されたのですよ。無機的に育てられたから犯罪が起こるとか、子どもの望むようにしか動けないロボットに育てられた弊害だとか、言われましてもね。だったらどうして、「親」である方々が、ご自身で育てられないのでしょうか……』  ママ・ロボットの言葉に、他の技術者たちが、苦笑する。
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