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ーーー揺れるカーテンの隙間から漏れる光が、
眩しく映る。
昨日からの寝不足が原因か、
気怠い身体を起こしながら
隙間から漏れたであろう光、
木漏れ日を求め
カーテンを開ける。
「昼…過ぎ、くらいかな、」
隙間から見たものよりも眩しいそれに
目を細めながら
明るさから時間を測る。
時計より先に、光を見たせいだろう。
正確な時刻など皆無ではあるが
ビルの隙間から覗く太陽で
大まかな予測を口にした。
此処は
とある都市のとある場所、
あるマンションの部屋の一室である。
その一室には
徹夜したであろう痕跡が色濃く残っている
散乱した大量の紙、
調べ物でもしていたであろう開きっぱなしの書物に
携帯電話(以降、スマートフォンと記載する)の画面には
より正確な情報を探していたのか
検索画面がそのまま表示されている。
そんな散らかった部屋の住人、
先程、カーテンの木漏れ日を見て開けた人
秋月 楼徒(あきづき ると)である。
太陽からの光で
楼徒の顔にも徹夜の跡が分かる。
深い隈が、刻まれいるのだ。
相当の時間集中していたのか、
瞳は微かに朧気で疲労を感じ取れる。
「流石に休憩しよ…」
掠れた声で、
小さく呟くと身体を軽く動かし
ゆっくりと窓から部屋の入り口へと足を運ぶ。
(その際、自身の散らかした紙を踏まぬよう
細心の注意を払って)
部屋のドアへと手をかけたところで
楼徒は思い出したように振り向く。
開きっぱなしになった書物の隣に置いた
自身のスマートフォンへ視線を向け
それを手にする為、再び窓近くにある机に向かう。
面倒に感じたのだろう、
散らかった紙を拾いながら。
散らかった紙を拾い切り
開きっぱなしにしている書物の上に置き
まるで栞(しおり)を挟むかのように閉じた。
万が一にでも風などに飛ばされないようにか
はたまた、
そのページを開きやすくする為かは
楼徒にしか分からない。
閉じた書物を少し動かし、
目的であったスマートフォンを手にする。
検索画面を表示したままの画面を
一つ一つ閉じながら
最初の画面に戻すと、画面から目を離した。
スマートフォンを片手に
再び部屋の入り口へ向かい、
ドアを開ける。
[〜〜♪〜〜♪]
その時だ。
手にしたスマートフォンから音が鳴った。
音の鳴ったスマートフォンに目を向け
画面を操作しながら
部屋を出、ドアを閉めた。
先程までいた部屋のドアが
締まりきろうとした時
フッと影が見えたが
それに背を向けて、
スマートフォンを操作している楼徒には
気付く事は出来なかった。
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