お人形

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俺が駆け付けた時にはもう妹はいなかった。   目の前にいたのは有らぬ方向を見つめる常軌を逸した目で愛しそうにおぞましい姿をしたマネキンらしきものを抱く女。   俺の可愛い妹はいなくなってしまった。   余りの光景に俺はその場で、何度も嘔吐を繰り返した。     首のないマネキンには代わりに人間の首がすげ替えられていた。   長い黒髪から覗く、どろりと黄色く濁った瞳がこちらを見つめている。 何故か、口元はにたりと笑っていて。 真っ赤に染まっていた。     傍らにはマネキンの割れた頭部と、首と腕がない女の死体。   妹だった筈のそれは真っ赤な血だまりで、人間の腕と首を生やしたマネキンを愛しそうに抱いていた。
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