今度は私が魔法をかける番

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 聞き覚えのある高い声に、体をこわばらせる。まさか大人になってまで、とは思うが無意識の加害者は、そのまま変わらない可能性だってある。  マリの前に少し出るようにわざとらしく遠くのピッチャーを手に取った。 「お、アイカじゃん。かわんねーな」 「海斗は相変わらずマリちゃんにべったりなの? お似合いって感じじゃないねってあの頃から思ってたんだけど。ついぞ、付き合った感じ?」 「そういうんじゃねーよ」  俺は好きだけど、いまだに少し、期待してるけど。マリの方を盗み見れば、マリは平気そうな顔で笑う。あの頃みたいに困って眉毛を下げることはないらしい。 「そういうんじゃないよ、アイカちゃんは相変わらずだね。海斗くんのこと好きだったから、そういうこと昔から言ってたんでしょ?」  少しギョッとして固まる。マリが言い返すとは思わなかった。身を呈すようにマリの前に出た俺が恥ずかしい。守らなきゃと思っていた自分自身が、憎い。
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