今度は私が魔法をかける番

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***  同窓会はおおむね楽しかった。けれど、俺の心の中では、マリの「対等じゃない」と「嫌いなわけじゃないんでしょ?」の回答の「そうだね」が心の中に引っかかっている。 「じゃあ二次会行く人はこっちー」  幹事の声に釣られて歩き出しそうな俺の腕を、マリが掴む。アイカは俺たちの間を、邪魔するように散々話していたくせにいつのまにかいなくなっていた。 「抜けよ」 「おう」  マリの合図に頷いて、歩き出す。熱った体に、生ぬるい風でも少しは涼しく感じられるものだ。 「海斗は、まだ書いてるの?」 「あー、いや、仕事もあるし、うーん」  誤魔化しているうちに喉が渇いた。書いてる、書いてはいる。誰にも見せられない小説はいつのまにか、ノート三十冊目に突入していた。 「やめちゃったんだ。まだ好き?」  前をしっかりと見据えて歩きながら、マリはぽんぽんと質問を出してくる。答えにくい質問ばかり。 「いやーどうだろうな」 「私にも言えないんだ」 「なに、急に。マリは?」 「海斗の魔法が解けないんだよね」  ふふふっと口ずさむように笑って、こちらをチラリと見つめる瞳にどきりとした。そういえば、そんなことを嘯いた(うそぶいた)こともあったな。
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