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「海斗が言ったんだよ、好きなことを好きで何が悪いんだよって」
「あったな」
「アイカちゃんのあれは、海斗と仲のいい私への僻みから来るものだったと思うけどね」
アイカは、マリを目の敵にしていた。よくぶつかりに行っては、いちゃもんをつける。あの魔法を嘯いた日だってそうだった。休み時間も漫画を描き続けるマリに絡んでは「この歳にもなって恥ずかしい」だの、「もっと上手い人いるよ」だの、嫌味を言っていた。
その度に、マリは答えもせず泣き出しそうな顔で困ったように笑顔を作って「そうだね」と答えていた。だから、俺が魔法を掛けたのだ。
誰に何を言われようと、好きでいられる魔法を。
好きなことを他人の言葉のせいで、嫌いになって欲しくなかったから。
「海斗、知ってた?」
「なに?」
「私、海斗のこと好きだったんだよ。優しいしかっこいいし、変な魔法使うし?」
「だったって言わないでくれよ、ちょっと傷つく」
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