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視線を向けると、ジェフリー様が柔らかな笑顔を浮かべていた。相変わらず綺麗な顔立ちをしているなと思いつつ、俺は軽く首を振った。
「人違いじゃ? 俺には、お貴族様の知り合いなんていないんだ」
「そう? 僕は一度食べたものの味は決して忘れない自信があるけれど、まぁ、いいよ。じゃあ、君は? 君の名前は教えてもらえるかな?」
「……エドガー」
「いい名前だね。少し一緒に、話をしよう」
「急いでいるんで。俺、暇じゃないんだ」
「じゃあ、手早く済ませるよ。もう少し味見がしたいだけだからね」
「? っ……」
笑み交じりのジェフリー様の声を聞いた直後、俺の意識が曖昧になった。
まるで夢を見ているような感覚になり、俺は立っていられなくなって、気づくとジェフリー様の腕の中にいた。ジェフリー様が長い指先で、俺の右耳の後ろをなぞったのが分かった。すると俺の背筋を、熱が駆け抜けた。
「ぁ……」
「少し大人びて、より僕好みに成長したね。将来が楽しみだよ、エドガー」
ジェフリー様はそう言うと、深々と俺の唇を貪った。舌を絡めとられ、甘く噛まれる。俺はいつの間にかキスに夢中になり、口に与えられる快楽を必死になって追いかけていた。何が起きているのか、よく分からなかった。
「うん。困ったな、実に美味だ。しかし、このままこの辺りに置いておいたのでは、誰に散らされるかも分からない。それも惜しいな、連れていこうかな。うん、それが良いね」
「……」
「ねぇ、エドガー? 君、家族はいる?」
「ぁ……っ、ぁ……」
ジェフリー様が俺の服を開けながら、そう言った。それから左手で、俺の陰茎を握りこむ。目を潤ませた俺は、なぜなのか素直に答えていた。
「妹がいる」
「そう。じゃあ、妹さんと一緒に僕のところへ来ない?」
「お前のところ……? っ、ぁァ……」
「ナイトメア伯爵家。きちんと、君と妹さんの生活を保障するよ、エドガーさえ、いい子にしてくれたらね」
「あ、あ、出る……ぁ、ア、ああ!」
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