人生、紙吹雪

2/5
前へ
/5ページ
次へ
「ただいま」 「お父ちゃん、おかえり~!」  帰ってきた夫を、たかよはいつも優しく出迎える。 「おお、たかよ。我がいとしのたかよ~。元気にしとったか?」 「うん。お父ちゃんのために、秘密の情報を教えたる」 「何や、たかよがこんな風に言うんやから、よっぽど一大事なんやろうな?」 「うん。あんな……お母ちゃん、機嫌悪いで」  たかよめ、余計なことを。 「何! たかよ、さすがや。ナイスアドバイス! お母ちゃんの機嫌はかなりひどい感じか?」 「うん、鬼のよう」  夫も娘もムカつく。私に聞かれてないと思ってるんか? 「鬼か…。ちょっとほとぼり冷めるまでお父ちゃんは外に出てるわ。怖い怖い」 「私もその方がええと思う。さわったらやけどしそう」 「そやな、やっぱり、そやな。」  もう、許せない。  気が付いたら、私は怒鳴ってしまっていた。 「誰が鬼や~! 全部聞こえてるわ! 黙ってこっちこい!」
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加