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そして凛の態度からも、先日の繭に対して全く反省していない事が伺えるが、それはもう昔からこんな感じなので。
今更治ることを期待していない椿は、凛を無視し冷たく横切るのみだった。
すると背後に届いた凛の声に、椿が立ち止まる。
「本命なら余計な事考えず連れ戻しに行くけどね」
「……誰のせいで」
「本気だとか言ってさ、結局その程度だったんだよ椿は」
「っ……」
凛の言葉は椿の気持ちを逆撫でするには十分で、しかし何も言い返せなかったのは、椿自身がその通りだと受け入れたから。
繭に負担をかけたくないなんて言いながら、結局自分がこれ以上傷つき、惨めになる事から逃げていた。
「私は椿の事本気だから、自分の気持ち抑えたことないわ」
「……凛……」
「たとえ椿に何度振られても、その気持ちに嘘はつきたくなかったから」
いつもそうだった。
椿が好きだと何度も気持ちを伝えていた凛は、相手にされず振られ続けていても、怯む事なく椿の前に現れる。
そうまでして凛が椿を欲しがる理由は一つ。
「だから、私と結婚してよ」
「…………」
椿が運命の相手だと信じているから。
真っ直ぐと見つめてくる凛はいつになく真剣で、覚悟を持った瞳をしている。
椿がこんな状況で、その火種を作ったのは凛だというのによくそんな事を懲りずに言えるな、と感心すら覚えた椿。
しかしその中で、椿に足りない大切な事を教えてくれた。
「……凛、そろそろ辞めたら?その年相応じゃない格好」
「なっ、これは椿に釣り合うように考えてコーディネートしてんのよ!」
「……10歳も年下の小娘が、俺の為にそこまでするんだもんな」
「わ、わかってたんじゃん……」
繭が同年代と予想していた凛は、実は椿と10歳差の22歳。
職業柄、実年齢より高めの衣服を着ることが多いが、それは椿と並んで歩いた時に幼く見えないように考えた、凛の努力でもあった。
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