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チュンチュンチュン。
小鳥の鳴き声が朝がきた事を告げている。
ピピピピ、ピピピピ。
いつから鳴っているか分からない目覚ましのアラームが早く起きろと告げている。
「やっばーい!寝坊しちゃったぁー。」
ドタバタドタバタ。
寝ぼけながら慌てて、花柄のパジャマから制服のブレザーに着替える。
ブレザーに腕を通しながら、リビングに降りるとお母さんがキッチンで洗い物をしていた。
「もー。お母さんなんで起こしてくれないのよぉー」
「あら、一度起こしたわよ?アナタももう高校生になったんだから、しっかりしなさいよぉ。あと、トースト焼いてあるからね。」
「あー。もう時間が無いよぉー」
私はお母さんが焼いてくれたトーストを口に咥えて玄関へ向かう。
「あっ。ちょっと待って。」
お母さんに、呼び止められて急ブレーキをかける。
「アンタ、ブレザーの襟曲がってるわよ。」
そう言ってお母さんは、曲がった襟を整えてくれた。最後にスカートの裾をピシッとすると「はい、行ってらっしゃい!頑張ってくるのよ!」と言って送り出してくれた。
「ぃっふぇひまーふ。」
バタンッ。
私は、トーストを咥えて家を出た。
(やばーい遅刻遅刻〜)
通学路を精一杯走る。
曲がり角にさしかかったその時!
ゴツンっ。
キャッ。 ドシッ。
痛っ。 ドシッ。
小さい星☆が衝突に合わせて飛び散る。
私の頭の上を数匹のヒヨコがピヨピヨ回る。
男子生徒と出会い頭に衝突してしまった。
「いったーいっ!ちゃんと前見て歩きなさいよっ」
「君こそ。走って危ないじゃないかっ!」
私は、スカートであることを忘れて大股で尻もちを着いていた事に気づく。
「ちょっとアンタどこ見てんのよ!このスケベ!」
「はっ?別に見たくて見えた訳じゃねぇーよ!」
「あっ!それより時間!」
「あっ!」
慌てて学校へ向いまた走りだす。
ぶつかった男子生徒は、ウチの学校の制服だったが校門当たりで見失ってしまった。
(まぁ、あんなヤツどうでも良いけど・・・・)
何とか学校には、間に合ってホームルームを待つ。
ガラガラガラ。
先生が教室に入ってきた。
「今日は、転校生を紹介する。」
教室が一気にザワつき温度が上がる。
「コホンッ。それじぁ、入ってきたまえ。」
「うっす。」
一人の男子生徒が軽く一礼して教室に入ってきた。
「あーーーー!朝のパンツ覗き魔!」
「げっ!朝のトースト女!」
「おっ。なんだ、お前ら知り合いか?なら席はお前の隣にするか。」
「ゲッ。」
「げっ。」
こうして、慌ただしくも私の新学期は始まっ、、、。
カチャッ。
『体験版はここまでになります。』
「うっ。VRゴーグルを外され逆光で目を細める。」
『如何でしたか?お客様が契約して頂いている、弊社のサブスクリプションに加わる新しいサービスは。』
黒いスーツを身に纏った彼は、ニッコリと笑い説明を続ける。
『お客様に回答頂いた108個の事前アンケートを元に、最新のAiがお客様自身ですら気付いていない深層心理にある夢や願望をバーチャル空間に構築・再現し体験出来るサービスになっております。』
「・・・・・・・・これが俺の願望・・・・。」
ゴクリッ。
『如何なさいますか。これからも弊社のサービスをご利用頂けますか?』
「はいっ。」
「これからもよろしくお願いします。」
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