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「栗原清夏君。君も自分に嘘をついて生きてきたことを報いて、進むこと。そしてきちんと天まで昇ること。分かったね……?」
「でも、俺は天に昇ることを許される身じゃ」
「そんなことはない。君は自分とずっと戦っていた。僕は梓ちゃんと見ていたよ? ほら、次に進みなさい。僕も君と会えてよかった。未来を救ってくれてありがとう」
次の扉が開かれ、長い道のりが続いている。そこには先程までワラワラと集まっていた亡者たちは居ない。リヴァイブが停止し、しがらみが無くなったのだ。
「閻魔様……寛大なお心感謝致します。俺もお会い出来て良かった」
鏡に映る俺の家族は、箱に俺の形をしたリヴァイブを詰めている。新たに歩き出したのだ。俺のいない人生を――
「俺……もう行きます」
扇子でヒラヒラと手を振る閻魔様に見送られ、扉を潜る。俺が禊を終え天に行けるまで長い長い道が続く。沢山の思いを背負って登っていく。
色んな人に迷惑をかけてしまった人生だった。みんなごめん。ごめんじゃ足りない、俺の命だけでは足りないかもしれない。
でも、この選択で良い人生だったと皆が言える未来が来ることを空から懸命に見守るから、立ち直って欲しい。最高な人間らしい人生を送ってほしい。
俺の人生はね……最高に良い人生だったよ。
人間として生きられたのだから。
~完~
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