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冥途の土産
「君はねぇ〜死んじゃったのよ」
「はぁ……?」
気づけば知らない場所にいた。暗がりの中周りを見れば、俯きながら歩く人達がいる。
その人らは、どこか目指す所があるらしく、一方向に向かって歩いていた。ここが何処かも分からない俺は、行く宛てもない為とりあえず人の流れに合わせて歩いた。
普通はそんな所通らないだろうと思う程、険しい山や道をひたすらに歩く。
程なくすると目の前に立派な建物が現れた。
「はぁ……やっとか」
俯いた人達は、無言のまま建物の中に吸い込まれるように入って行く。俺も流れに身を任せて中に入ると、そこにはだだっ広い空間が広がっていた。
大広間の奥には4メートルは優にある扉があり、そこには先程まで俯いていた人達の長蛇の列が出来ている。
扉の左右を見れば、鬼のような守衛が一定時間を空けた後、一人一人に扉に入るように指示を出しているようだ。
(あの扉の中で何をしているんだ? あれは仮装か何かか?)
ぼやぼやする思考の中、何をするでもなくぼーっと待っていたら、いつの間にか残るのは俺だけとなっていた。
「入れ……」
守衛に声をかけられ、地響きと共に大きな扉が開かれる。中に入ると、そこには見上げるような大男が一軒家位ありそうな大きさの机に座っていた。
そして現在に至るというわけだ――
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