第1章 『Black & Pink』

2/93
前へ
/93ページ
次へ
 睡蓮に華夜と呼ばれた少女の名は、緋雨 華夜(ひさめ かや)。この物語のヒロインだ。ゆるくウエーブがかかった天然パーマ気味の栗色の髪は長く、腰の位置まである。ぱっちり二重のくりっとした大きな瞳、可愛らしい声。元気いっぱいだが、どこか落ち着きが無くふわふわとした雰囲気。耳にはローズクォーツの小さなピアス。そしてあまり高くない身長。ここまでは、まぁほぼパーフェクトなヒロイン像なのだが……。 「華夜はもう帰るの?」 「ううん、帰らないよスカッシュたん。これから部活なの! 早く放送室に行かなきゃ♪」 「やけに機嫌がいいねぇ~! 何かいい事でもあった?」  ニコニコ笑みを絶やさない彼女に、睡蓮が尋ねる。因みにスカッシュとは華夜が付けた檸檬のあだ名である。 「えへへ★今朝、やっと今月号のSH●XX買ったから、早く部室で読まなきゃいけないの~♪」 「ををっ、そうかそうか! とかいうあたしも、最新号の声優グ●ンプリ買ったから読まなきゃいけないんだなー、コレが!」 「さっすが睡蓮巨匠!」  ぐっ! と、華夜と睡蓮はお互いの手を握り合う。因みに巨匠とは睡蓮のあだ名で、これまた華夜命名による。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加