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彼女の熱弁を聞き、檸檬は小さく溜息をついた。……無理もない。華夜は、世間では『ヴィジュアル系』と呼ばれる分類のバンドが大好きな女の子。現代で言うところの、いわゆる”バンギャル(※略称=バンギャ、ギャ。まだこの時代で浸透していない呼び方だが、華夜は最先端を走っているので使用している)”さんなのだ。それも行きたいライヴのチケットは(※インターネットやスマホなどで簡単に手に入る現代とは違い)、ここ栗川町からバスで一時間以上離れた札幌市まで行き、チケット売り場前で徹夜して並んででも買う……という程にまで筋金入りの。それ故かどうかは定かではないが、他の生徒達とは違い、制服に合わせるハイソックスは常にフリル付きの可愛らしい物だ。校則違反なのだが、本人は気付いていないので罪の意識は全くない。生活指導教諭に注意されても「えへへ~♪」で終わらせ、何故か許されてしまう。髪が天然パーマなら頭の中身も天然。ふわふわとした雰囲気も天然ゆえ。そんな彼女が、この物語のヒロインなのだ。
「んじゃ、途中まで一緒に行こう♪」
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