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そう言って先に歩き始めようとする睡蓮に華夜は「あ、ちょっと待ってて! 四組に行って来る~」と言い残し、クラスメイト達の間をうまく縫いながら、風のような速さで隣りの教室へと走って行く。実は見かけによらず、とてつもなく足が速いのだ。
「相変わらず速いなー」
「それだけ早く会いたいんでしょ、やっと出来た『親友』に☆」
「だね!」
くすくすと、残された二人は笑い合った。
――――――
一方。
「利ー亜~……あだっ!」
勢いよく四組の教室に入って来た華夜は、何もない所につまづき見事にずっこける。おまけにゴン! と鈍い音を立て、黒板の前にある教壇におでこを強打した。
「ちょ、華夜! 大丈夫!?」
「い、痛たた……痛み……を、増ーす夜に同ーじ言葉をぉ~♪」
「それマリ●ミゼルでしょ。よく台詞から歌詞にすぐ繋がるよね……」
教室の後方から、一人の生徒が慌てて彼女に駆け寄って来た。心配しながらも冷静にツッ込む、利亜と呼ばれた生徒。この人物こそが華夜の親友であり、この物語の主人公・神宮 利亜(しんぐう りあ)だ。
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