3人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
愛の言葉
健康体であるはずなのに体が重い。仕事でも、見逃される程度のミスだが何度もやらかした。
蒼真と時々、目があっては私から逃げる。積み上げた分の恋情が、胸を焼くのが分かった。
夕暮れに送られながら帰宅する。挨拶する気力もなく、ローテーブルの前に膝をついた。
真似しているのかナオキも無言だ。静かすぎる部屋が、今日は傷口に沁みる。
「……ナオキ、ただいま」
絞り出したが、静寂は更けるばかりだ。
「……ナオキ?」
つい光を確認してしまう。点滅は止んでおらず、コンセントも確り刺さっていた。しかし、何度呼び掛けても応答がない。いつもなら、何度か呼べば応えてくれたのに。
こんな時に、貴方まで私を捨てると言うの――?
成す術なく項垂れかけた時、呼び鈴が鳴った。
最初のコメントを投稿しよう!