序章 「ようこそ、最高で最低な一日」

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 そんな妄想をしていて、気づいたらバスに乗り遅れてしまった。次のバスが来るまで1時間も待たなければならない。このままバスに乗っていたらバスジャック犯に遭遇していただろうと無理やり想定してみることにした。  「仁くん。おはよう」横からエリザベスの声がしてぼくは驚いた。バス停のベンチ、ぼくの隣に座る愛しの人。  「え、、、、、え?え!りざべーす」  「あれ?まだいたの?」  「だめかい?」  「ダメじゃない」  「部活は?」  「今、休憩中」  「サボってるってこと?」  「いや、休憩」  「あれ、美咲は?」  美咲もエリザベスと一緒のインディアカ部だ。  「練習中」  「美咲は練習中なのか」  「うん。美咲は練習中」  「エリザベスは?」  「休憩中」  この「話が噛み合わない感」が彼女の魅力だ。 一部の性格の悪い女子は彼女のことを「やっている」と称するが、それはただのねたみだ。
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