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当たり前のぼくの時間を鮮やかな群青色に変えたのは、愛しき人の姿だった。彼女の姿を見ただけで
自然に笑顔が出る。
東屋のすきまを夕陽が差し込み、彼女を照らした。彼女の表情からは、感情は読みとれない。そんな淡泊な表情は相変わらずだ。
「おはよう、仁くん」
「おはよう、エリザベス」
彼女はぼくの隣に座る。ぼくのほうはぎくしゃくしてしまうが、彼女の表情からは緊張などは感じない。まるで緊張なんて概念を知らないみたいに思える。
「エリザベスの家は近くなの?」彼女の肩に手を回しながら言いたい。
「そだよ」
「前からここらへん?」
「うん」
「中学一緒じゃないよね?」母校の名前を付け足した。
「違う」
公立の中学校の区分けがおかしいことはよくある。同じ地区でも一丁目まではA中、二丁目と三丁目はB中みたいな分かれ方は割とあると思う。
「もしかして、あそこの中学校?」その中学校の名前は伏せておく。
「うん」
「やっぱり。マジかー。こんなに近いのになー」
「近い?」
「えっと、ぼくもこの近くに住んでるんだ」
「、、、」彼女は無言でこくりと頷いた。そのジェスチャーになんの意味があるかは分からない。
「それより、ちょっと訊いていいかな?」
「うん」
「なんでバニースーツとか着ているの?」
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