序章 「ようこそ、最高で最低な一日」

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 「犬は好きだよ。エリザベスは?」  「すき」  「エリザベスは犬派?」  「犬は歯じゃない」  「犬は歯じゃないね」  「そう」  「ねこは好き?」  「すき」  「犬とねこ、どっちが好き?」  「分かんない」  「分かんないねー」  「来て」彼女はゆっくり立ち上がると歩き出した。  「どこ行くの?」  「私の家」  彼女の家は、公園を出てから車道を渡ってすぐの一軒家だった。表札にアルファベットで 「KOURYU」と書かれていた。  「親にあいさつはまだ早いよ」  「あいさつは大事」  「うん、そうだね」  「本当に入っていいの」  「違う」  「うん?」  「待ってて」  「うん」  なぜか玄関で待たされることになった。彼女が玄関を開けると、父らしき人が出てきた。
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