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犬と出会う
私にとっての犬は、先代だった。私は先代と同じ犬種を選びたかったが、当時は探してもいなかった。私はさっくりと諦めた。
どんな犬がいいか友達に相談すると、
「トイプードル!」
と熱烈に推された。
「トイプードルって、あの変なカットされた子?」
そんなイメージしかなかった私に、特に犬を飼ったことがない友人はとにかくトイプードルを推した。内容はほとんど聞き取れなかったが、熱意は伝わった。
ペットショップ、保護犬、ブリーダー、色々見て回って、友人推しのトイプードルを飼うことにした。まだ一ヶ月も経っていない子で、生え揃ってない毛皮は真っ赤だった。引き取れるのは三ヶ月後と言われ、私たちは待つことにした。
が、三ヶ月後、私たちの目の前にいたのは、二匹のトイプードルだった。
二匹いるんでこの子も見てくれないか。そんなことを言われたと思う。
二匹とも、同じ茶色のトイプードル。
一匹はとても小さくて、目が大きくぱっちりとした、見るからに美人な子。
そしてもう一匹は、その子を二倍ぐらいした大きさで、細い目を閉じてグーグーと寝ていた。――私は、なぜかその子から目を離すことが出来なかった。
「どちらがいいですか」と尋ねられて、私は迷った。ブリーダーさんはさらに、「こっちが、前回会われた子です」と、小さくて美人の方を指した。
明らかにかわいい、と思えるのは前者なのに、私はこの子と離れたくないと、眠っている子犬を選んだ。
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