びっくりするほど臆病

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びっくりするほど臆病

 そしてうちの犬となったその子は、うちに来た途端、震えてダンボールから動かなかった。  引きこもりの私が出会った犬は、とんでもなく臆病な犬だったのである。  これは少々面食らった。ご飯は食べない、部屋は動き回らない、夜鳴きはする。恐らく人も怖いはずなのに、誰かがそばにいて撫でないときゅんきゅん鳴く。  撫でるために膝にのせると、私の太ももにおさまったその子は、子犬にしては大きいけれど、やはり小さい生き物なのだ、と実感した。  お湯でふにゃふにゃにしたドックフードを食べる子犬を、私は初めて見た。生まれた時から老犬だった子しか知らなかった私にとって、初めて遭遇した子犬期だった。  先代と比べて臆病なその子は、散歩もとても怖がった。最初はこんなものなのかと思っていたら、 「こんなに臆病な犬は初めて」  と母がしみじみ言っていたので違うんだな、と思った。  どうやら私の犬は、私に似てメンタルが豆腐だった。あの惹かれ具合は類は友を呼ぶ、みたいなやつなのだろう。嫌な運命だ。  そうして、少しずつ恐怖を乗り越え、散歩が大好きになった頃には、先代の二倍は大きくなっていた。小型犬ってなんだっけ。
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