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そして老犬になる
先代と離れて、誓ったことがある。
次は何がなんでも、最期を看取りたい。
膝に乗って震えるその子を撫でながら、その最初に立ち会えたことを、体温とともに覚えておきたいと思った。
少しずつ、目には白内障の白さが目立ち、茶色の毛は白く薄くなっていく。
老いは、ゆっくり近づくこともあれば、ある日突然来ることもある。半年前、突然ぼーっとする時間が多くなって、散歩に行く元気もなくなり、あれだけ与えられたドックフードを貪っていたのに、一切食べなくなった。排泄も失敗することが増え、急にわけがわからなくなったように噛み付くようになった。
認知症になったのだと思った私たちは、今後この子とどう付き合えばいいのかわからなくなった。前代は目も見えず耳も聴こえなくなったが、噛み付くなんてことはなかった。だが臆病なこの子は、何もかも分からなくなって、怖くなったのだろうと。
動物病院に行っても、何も分からない。怖くなった私は、電気を消した夜の部屋で、一生懸命スマホで調べた。末期ガンの兆候だと書かれたサイトを見つけては、不安で不安で仕方がなかった。前代を見て、老いが来ても怖くないと思っていたが、少しずつ近づく死に、眠れないほど心配になった夜もある。
一番怖いのは犬本人だろうに、我ながらダメな飼い主だなあ、と思った。
だが、臆病な分、助かったことがある。
「痛みでそうなる」というサイトを見つけた私は、動物病院にその可能性を伝えた。先生は疑っていたが、軽めの鎮痛剤をくれた。
そして、それを飲ませた途端、うちの犬はキビキビと動きだすようになった。散歩も行き、ダッシュで走るようになった。
そんな元気な時間も、すぐに終わった。あれだけ二足歩行で立てた子が、腰を悪くして、歩けなくなった。今は一人で排泄もままならない。ちょっと前はしょっちゅう台所に忍び込んで盗み食いをしていたのに、今はそんな心配をする必要がなくなった。
それでも、食欲はある。最近ドックフードを食べたくないと言うので、缶詰やジャーキーなどを与えると、驚くほど食いつきがよい。
また、立って歩けなくなっても、お尻を引きずって前足のみで移動する。なにか出来なくなっても、くよくよしたり、諦めたりしない。
先代とは違うが、私の犬もまた、勇敢な犬だったのだ。
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