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腰に手を当て頬を膨らます私に、ララは半泣きになりながらぴょんぴょんと飛び跳ねてご機嫌取りをする。
全く、しょうがないんだから。
私はふうとため息をつくと、その場にしゃがみこみ、ララと目線を合わせた。
「いーい? 今回だけ特別よ」
瞬間、ぱあ……! と瞳が輝く。
「ありがとう、アメリ! ありがとう、女神様!」
今度は許してもらった喜びのままに、ぴょんぴょんと飛び跳ねる姿に苦笑していると、足首に何やら柔らかいものがまとわりついた。
「甘いわね、アメリ。ララは物取りの常習犯なのよ? どうせまたやるに決まってるわ」
可愛い見た目とは裏腹、高い声音で毒を吐くのは彼女しかいない。
「アン! 来てくれたのね、ありがとう」
「別に暇だったから来ただけよ。それより、アメリが作ったご馳走はどこにあるの?」
白猫のアンは水色の瞳を素っ気なく逸らすと、しなやかに身を翻してトテトテと歩を進める。
そしてビニールシートに足を踏み入れ、辺りに並ぶご馳走をきょろきょろと吟味する。
「あ、ミルクスープがあるじゃない! いただきまーす」
細かく刻んだ野菜を、柔らかくなるまでじっくり煮込んだミルクスープは、アンのお気に入りの一品だ。
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