誕生日会

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 早速――動物にしては上品に――ぺろぺろとスープを舐め始めたアンの姿に、私は思わず頬を緩める。  口調や雰囲気はつんつんしているけど、やっぱりアンも猫ね。無条件に可愛いわ。  隣に腰を下ろし、その背を撫でて癒されていると、私の肩に本日四人目の友達が留まった。 「いやはや、賑わっているようで実に結構。しかしやはり、ジルは来ていないようですな」 「ご機嫌よう、エディ。……いいのよ。仲間が四人も集まってくれて、私は十分嬉しいわ」  白鳩のエディは、こちらに顔を向けると漆黒の瞳をくるくると忙しく動かした。  私はそんな彼の頭にちょんと触れると、胸の痛みを無視して歯を覗かせた。 「いやはや、アメリ姫はお心が広いですなあ。しかし今年は、姫の大事な大事な節目でもございますからね。今日ばかりはなんとしても来てもらわねば。……ああ、姫はそのままで結構。ワタクシめが呼びに行ってまいります」 「あ、ちょっとエディったら……!」  行動を起こすどころか、まだ何も告げていないのに、彼は(くちばし)と羽を同時に動かしたかと思うと、そのまま悠々と青空に飛び立ってしまった。
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