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三発目の破裂音で、俺は死を悟った。
「ぐう……!」
踏ん張っていた足が崩れ落ち、意思に反して力なく身が横たわる。
そんな俺の無様な姿に、男たちは恐怖に強ばっていた顔をしたり顔に変えて、ゆっくりと近づいてきた。
「へへへっ、これでもう抵抗なんてできまい」
一人の手には縄、もう一人の手には麻袋が握られている。
クソったれが!
人間の欲深さには最早反吐すら覚える。
そんなにもこの白い毛が欲しいか。そんなにも金が欲しいか。
「来るな! 来たらその腕ごと食いちぎる」
頭を上げた俺は最後の力を振り絞ると、鋭い歯を剥き出しにして威嚇する。
薄汚い金の亡者にくれてやる毛など、微塵もない。
「うげえ……兄貴、コイツすげえ生命力だよ……。まだ抵抗してやがる」
「チッ、もう一発やるしかねえか。傷が増えると大した値にならねえんだけどなあ……」
『兄貴』と呼ばれた人間は、そう不満そうにぼやきながらも、肩に背負った猟銃を躊躇なく俺に向けてきた。
最早これまでか。覚悟を決めたそのときだった。
「やめなさい! 今すぐ銃を下ろして!」
落ち着いたよく通る声が耳をついたと思いきや、俺の身はきつく抱きすくめられた。
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