1人が本棚に入れています
本棚に追加
小学六年生って、暇。
忙しそうだけど、意外と。
「最高学年」という肩書きを異様に重く乗せてくる熱血教師への対応以外は。
でも、私は知っている。
どれだけ「子供には可能性がある!」と叫ぶ教師も、どれだけ明るい子でも、みんな諦めている。
教師はお金目当て。
明るい子は人間関係に疲れてる。
ああ、嫌だ。
そんなことを考えていたら、目の前から走ってくる男子が!
咄嗟に避けようとしたけれど、ビックリして固まってしまった私の体は動かない。
「どうしようっ、ってきゃぁ!!」
ぐわっ、と私は後ろに倒れる。
「っ、ごめん」
男子は言う。彼は確か、月詠星矢君?
彼は今年の5月くらいに来た転校生。実はあまり話した事がないんだ。
そう言えば、心の声。聴こえないなあ。
──聴こえない?
おかしい。心が動いている限り、私には心の声が丸聴こえなのだ。
そう思っていたら、彼の顔がロボットの様に笑っていない様に見えてきた。
「っ、ごめんね、怪我はない!?私、もう行くね!」
何か、居心地が悪くなって走って逃げた。
なんだろう。言いようのない苛立ち?が私の中に溜まって渦を巻いていた。
ぐるぐる、ぐるぐると私の頭の中を『?』が彷徨う。
「君のこと、もっと知りたいな」
私は夜空に向かって、呟いた。風に靡く君の髪の毛を想像してついついニヤけてしまう。
どうして、知りたいと思うんだろう。
この気持ちは?私のこの声は──。
最初のコメントを投稿しよう!