2.【銀髪の少女と灰色の街】

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 突然目の前に現れた、重厚な扉を部屋の奥まで吹き飛ばし、まだ横峯からしか呼ばれた事のない『椎葉悠佑』という自分の名前を呼び、さらにはと言う謎の銀髪の少女。その突飛な状況に悠佑は当惑するほかない。  「……えっ、なんで……僕の名前……?あのと、と、扉をどうやって……?それに……だ……誰だ……誰なんだ、き、君はッ!?」  「細かい話は後でするとして、とりあえずあんたは私とここから出るの。いい?」  「……いい?……って…………」  「抵抗したとしても力づくで連れて行くだけだし、あまり無駄なことはしないほうが賢明よ」  そう言いながら少女は足元の瓦礫の山を滑るように降りるとゆっくり悠佑の方へ近づいていく。それに恐れを感じた悠佑はベッドの端へ後ずさりし身をすくめた。  「(来る……いったい、なんなんだよこの子は……力づくで僕を連れて行く……?どういうつもりなんだ……ッ!?)」  少女が悠佑へと手を伸ばした時、急に少女の元に通信が入った。  足を止めた少女と悠佑の間には3Dディスプレイが浮かび上がり、そこからノイズ混じりの男の声が聞こえてきた。ディスプレイには『VOICE ONLY』の表示がある。    「あー……あー……つ……つう……しん…………通信……通信…………状況……こちら……オペレーションルーム……かすみ……1号……応答せよ……ん?……聞こえてる?あー……あーあー……あれ?“かすみ”?これ……聞こえてるのかしら?」  銀髪のツインテール、少し吊り上がった大きな瞳、細い首筋には『01』と刻まれ、超高速移動で地面に体当たりをして無傷のまま大穴を空けるほどの機動力と装甲のタフネスさを誇り、白兵におけるその破壊力は重厚な鉄製の扉をよいしょッと軽くぶち破るほどの美少女アンドロイド、彼女の名は――かすみ1号。  正式な名称として主に『かすみ1号』と呼称されるが、親しい者からは通称として『かすみ』と機体名のみで呼称されることが多い。また、なかには彼女のことを『1号』と機体番号のみで呼ぶ者もいる。  突然入った通信にかすみは溜息を混じらせながら不機嫌そうに応答した。  「はぁ……通信状況は最っ悪ね……。でも、とりあえず聞こえてはいるわ“ジャン”。あと、いま」  ジャンという男の声がそれに応答する。        
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