13. (Last Episode)未来への前進

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口を塞がれてびっくりした顔の志艶に問いたい。 ……なぜびっくりする? なぜキスをしようとする? だって志艶、お父さんに言ってた。付き合ってないんでしょ?  付き合ってない相手なのに開幕第2戦を開催する心情がわからない。 単なるキス好き? 遊び人? キスをしなければ生きていけない病? そんなのないか。 「志艶は……キスが好き……なの?」 そう聞くと、志艶は目をぱちくりさせて無言で首を傾げている。 何が疑問だ? 疑問なのはこっちだよ。 「だって……志艶と私は付き合ってないんでしょ?」 そう聞くと、志艶は相変わらず目をぱちくりさせている。 ……だから何が疑問!? 「だってだって、ウチに来た時に、お父さんに『付き合ってるのか?』って聞かれて、『いいえ、そんなことは決して』って返事してたじゃない」 すると志艶はゆっくりと首を傾げて考え込んだ。 「ん……? 師範には……『つつき合ってるのか?』と聞かれた気がするんだが……」 「……は?」 「『つつく』とは、小刻みに突く・つまんで食べる・欠点を咎める等の意味だが……蓮香とはどれも当てはまらないから『いいえ』と答えた。俺は耳がいい方だが、聞き間違いか? ただ、『つまんで食べる=つまみ食い』をキスと捉えるならば『はい』と答えるべきだったが……師範の怒りを買いそうでついつい隠してしまった。俺も意気地がないな」 フッと志艶は笑ってるけど…… ちょっと待てーっ! なんか違う。ちょっと……いや、だいぶズレてる。 この人、頭がいいんだか悪いんだかわからないな。 会話の流れで読みなさいよ……。
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