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「訂正しなくていいよ」
「そ、そうか」
ホッとした顔もかわいい。すると志艶が再びじっとこちらを見つめる。
「先ほど『キスが好きなのか』と聞いただろう?」
「……うん」
「それはちょっと違う」
「違うの? じゃあ嫌い?」
「それはだいぶ違う」
「え?」
「俺は……蓮香とするキスが好きだ。ほかのはどうでもいい」
……うわ。この人、急に男っぽい顔して、私の心臓を根こそぎ奪うつもりかな。でもいい。奪われたい。志艶になら全部奪われたい。そして……私も全部奪いたい。
蓮香は志艶のジャケットの胸元を掴むと、背伸びをして志艶の唇に自分の唇を重ねた。
「私も好きだよ。志艶のことも……志艶とするキスも。志艶だけがいい」
そう伝えたら、眉根を寄せた志艶に頭と頬を押さえられて間近で告げられた。
「そういうことをするから止まれなくなるんだ」
何が? なんて聞く間もなく唇を奪われて……
開幕第2戦はただのキスじゃなくて――
「んっ……志……艶……っ」
唇を食べるみたいなキスに驚いて、思わず声を上げた。
「何? 嫌ならやめる」
「……嫌じゃない……けど……」
「けど?」
「ど……どうしたらいい?」
「ん? いいよ。最初は……されるがままで」
されるがまま唇をカプッと食まれてペロリと舐められた。
ニヤリと笑う志艶は妙に色っぽく見えて……この人、初心なんだか慣れてるんだかよくわかんないな。
それにしてもびっくりした~。
なんか気持ちよくて恥ずかしかった……。
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