結局二人は付き合いました。

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平凡な日常というのは人差し指でつんつん突くだけで、簡単に瓦解する繊細なガラス製品です。 例えるなら日常とは水です。何も手心を加えなければ美味しくて優しい人類の親友。火を加えれば熱々のスープや温かいお風呂に。冷やせばカチカチの氷や冷たいジュースに。そして金属ナトリウムを加えれば爆弾になります。 何か一つ加えるだけで人間を支えたり、滅ぼしたりすることができる危うい変動体です。何もしなければいいものの、この世に生まれてしまったからには、何かしらの影響を受けるのが万物の悲しい定めというもの。 ポテトチップスを摘みながら、みんな大変なんですねぇと他人事のように十七年もの年月を生きてきたわたしにも、どうやらその魔の手が迫ってきていたようで。 迫ってきているどころか、もう目と鼻と前髪の先まで到着していたようで。 本日、わたしの愛しくて大切に温めてきた日常も、例に違わずこの世の刺激を受けて未知の変化を遂げようとしており、わたしは非常にどきどきしているのでした。
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