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ベッドに戻った織原は、大きく息をついてから目を瞑った。
「きょうはありがとう……死ぬ前に会えてよかった……お前に白状したいことがあってな」
「縁起でもないことを言うな」
僕の夢をすべて達成し、日本中のプロ野球ファンに愛され、人生を勝ち逃げしようとする男。
早く死が迫る悲劇さえも、織原の名声を高める神様の偏愛に思えてしまう。織原に何度も助けられたのに、僕は織原に会うと自分のクズな感情ばかりが弾け散る。そのことにも僕は憔悴していた。
「俺たちの夢は、ずっとすれ違っていた……気づいたのはドラフトの日だ」
「遅いな。僕は中学の時から知っていた」
同じ夢を見ても並べない差がある、残酷な現実に。
「それでもお前の友情は変わらなかった……河瀬へのねたみ、嫉妬……すべての感情を隠せる力があった……お前のお陰だ」
「僕へのねたみ? 嫉妬? 何の話だ」
「だから俺はいい人生を送れたと思う……これからもよろしく、な」
「……いい加減にしろっ」
すべてを手に入れ、人生まで先に卒業しようとする身勝手な奴が、何を言ってるんだ。
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