6 言の葉の鏡

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ぼくのゆめ  ぼくのゆめはタイガースでプロやきゅうせんしゅになることです。こうしえんでだいかつやくして、日本シリーズでしょうりとうしゅになります。けいちゃんとけっこんして、タイガースで20年かつやくして、いんたいします。それからこどもたちにやきゅうをおしえて、おこのみやきやのしゅじんになります。こどもをたくさんつくって、おっちゃんやおばちゃんたちとタイガースをおうえんして、100さいまでいきたいです。 おりはらかずひこ 「俺たちの夢は、ずっとすれ違っていた」  僕はとんでもない思い違いをしていた。  僕と織原の夢は同じじゃない。  ずっと正反対の鏡像だったんだ。  織原が欲しかったのは、球界のエースや日本代表監督じゃない。  恵ちゃんと大阪の街で一生タイガースを愛する、そんな小さな幸せが欲しかったんじゃないのか。  脳裏の若い織原が、僕に笑いかける。 「河瀬。お前の夢は、俺が果たす。これからも、俺の夢をよろしく」  ずっとずっと、僕にそう言い続けてきたんだ。  そんな織原に、僕は何をしてきた――?  一気に押し寄せた自責と後悔と、人生の半身を失った悲しみに心を砕かれ、僕ははばかりなく号泣した。
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